原田維夫的祭の感想(おと) 藤本義一   (1979年寄稿)

香川県 (善通寺会場)
          香川県 (善通寺会場)

 

  原田兄の祭の版画展だという。

 

 

 雄渾の祭りの音が聞こえてくるように思える。

 

 

 音の元祖は、笛ではない。舞でもない。おそらく太鼓の音色だろう。

 

 

 

 海の声が遠くから聞こえてくる。山の声が遠くから聞こえてくる。その潮の騒ぎと山の叫びが一体となったところに、原田版画の音が結ばれる。

 

 

 祭は筋肉の活動だ。筋肉は束になり、そして汗を生む。汗が招くのは風だ。これらが、原田作品の底に脈搏つのだ。

 

 

 

波の音が、風の音が一束になって一枚の板に結束を破って集まってくる。

島根県(諸手船神幸)
           島根県(諸手船神幸)

 

 

 

 

 

 

 牛の角がぶつかり、男の生きざまの声が聞えてくる。

 

 

 

 原田兄が祭に視線をやる。熱っぽい視線だろう。

 

 

 

その視線が指の神経に宿った時、刀は祭日の音を切り裂いていく。いや、切り拓いていくのだ。

 

 

 原田兄の作品には、もともと音とか声とかがある。それは一本の線で描かれたり、数本の線で示されたりする。

 

 

この音を描く時の作者の顔が見たい。

 

 

---そんな祭りなのだ。

 

 

                     和歌山県(古式捕鯨)
             和歌山県(古式捕鯨)
鹿児島県(金峰神社棒踊り)
           鹿児島県(金峰神社棒踊り)
岩手県衣川(鬼刺舞い)
          岩手県衣川(鬼刺舞い)

 

 

※出典 『イラストレーションの技法 版画』原田維夫著 有峰書店 1979年

原田維夫が回想録を寄稿している「東京オリンピック1964デザインプロジェクト」公式写真集(東京国立近代美術館・刊)。
原田維夫が回想録を寄稿している「東京オリンピック1964デザインプロジェクト」公式写真集(東京国立近代美術館・刊)。

「東京オリンピック1964デザインプロジェクト」にピクトグラム・デザイナーとして参加した原田維夫は、「東京オリンピック・パラリンピック2021」を応援させていただきました。

◆2016年3月3日、「東京オリンピック2021応援シリーズ」特設ページを開設しました!

◆2014年11月3日、山本一力さんの仕事場の写真を追加しました。

山本一力さんの仕事場の写真を掲載しました。原田維夫の作品「馬九行久の図」を大切にかざっていただいています(写真左上)。くわしいエピソードは「リンク集〜原田の友人たち」をご覧ください。

 

◆11月7日、原田が寄稿している『東京オリンピック1964デザインプロジェクト』公式写真集を出版物リストに追加しました!

2013年2~5月に国立近代美術館で開催された展覧会『東京オリンピック1964デザインプロジェクト』の公式写真集を出版物のページに追加しました。
 トイレの男女マークなどで知られるピクトグラムは、このプロジェクトから始まりましたが、そのときのエピソードを寄稿しています。

◆10月27日(日)、原田維夫が、TBSテレビ番組『スパニチ!所さんのニッポンの出番!』に出演しました!

2013年10月27日、原田維夫が、所ジョージさんのテレビ番組【スパニチ!!ニッポンの出番!】に出演し、ピクトグラムの開発で世界に影響を与えた「東京オリンピック1964デザインプロジェクト」のエピソードを語りました。

 

くわしくは、ブログ、「東京オリンピック1964デザインプロジェクト」、最新トピックス(トップページ)をぜひご覧ください!

◆2013年3月27日、原田維夫の公式ウェブサイトがオープンしました!

ファンの皆さん、作品の発表の機会をつくってくださった多くの作家さんや事業者の皆さんへの感謝の気持ちをこめ、このたび公式ウェブサイトを開設いたしました。 

※本サイトでは、クリックにより拡大画像をお楽しみいただけます(一部をのぞきます)。

 

◆原田維夫 代理人・公式ウェブサイト管理責任者:

 

株式会社ジェイ・ティー・マネジメント

https://www.jtm-tanaka.com/

 

田中  純(たなかきよし)